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<title>墓場でデート</title>
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<title>お待たせしております</title>
<description> 事情がありまして、ただいま別の作品を執筆しております。「墓場でデート」も同時進行したいところなのですが、どうしても時間的な余裕がありません。根気よくアクセスしてくださる方、ブログ拍手してくださる方などがいらっしゃるのにお待たせしているのが心苦しくて、お詫びのつもりで今回ご報告をさせていただきました。「墓場でデート」はなるべく早く再開したいと思っております。お楽しみにお待ち下さいませ。一期
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<![CDATA[ 事情がありまして、ただいま別の作品を執筆しております。<br />「墓場でデート」も同時進行したいところなのですが、どうしても時間的な余裕がありません。<br />根気よくアクセスしてくださる方、ブログ拍手してくださる方などがいらっしゃるのにお待たせしているのが心苦しくて、お詫びのつもりで今回ご報告をさせていただきました。<br /><br />「墓場でデート」はなるべく早く再開したいと思っております。<br />お楽しみにお待ち下さいませ。<br /><br />一期<br /><br /><br /><br /> ]]>
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<title>五夜目　見つめられて （１６）</title>
<description> 　翌日の朝、舞は物理準備室に立ち寄った。そして卓巳に昨日の八実駅での出来事を話した。すると卓巳は心配顔で訊ねた。「大丈夫？なんともない？」「はい。大丈夫です。そのあとは視線も感じませんし」「君の拒絶が効果あったのかな」「わかりません。無我夢中でしたし」「でも、これで写真を撮っていたのが後藤先生だとはっきりしたな」「証拠にはなりませんよ」「わかってる。問題は、今後どうするかだな」　卓巳はそっと窓に近
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<![CDATA[ 　翌日の朝、舞は物理準備室に立ち寄った。そして卓巳に昨日の八実駅での出来事を話した。すると卓巳は心配顔で訊ねた。<br />「大丈夫？なんともない？」<br />「はい。大丈夫です。そのあとは視線も感じませんし」<br />「君の拒絶が効果あったのかな」<br />「わかりません。無我夢中でしたし」<br />「でも、これで写真を撮っていたのが後藤先生だとはっきりしたな」<br />「証拠にはなりませんよ」<br />「わかってる。問題は、今後どうするかだな」<br />　卓巳はそっと窓に近付いた。女子テニス部は朝練をしているはずだ。おそるおそるテニスコートを覗いてみる。<br />　思った通り女子テニス部は練習をしていたが、いつもの場所に後藤はいなかった。卓巳はテニスコート中を目で探したが、やはり後藤の姿は見当たらない。<br />「朝練には出てないな」<br />　卓巳は職員室で顔を合わすのが恐かった。<br />　昼休みになってすぐ、舞が物理準備室に飛び込んできた。<br />「先生、聞きましたか？」<br />「もちろん。後藤先生が入院した事だろ」<br />「はい。倒れたって聞いたんですけれど」<br />「昨日の帰りだそうだ」<br />　舞は立ったまま下を向いた。<br />「わたしのせいかもしれません」<br />「なぜ？」<br />「生きた人間同士が霊的な部分でぶつかると、どちらか、もしくは両方がダメージを受ける場合があるんです」<br />「そうなの？」<br />「倒れたのがあの時間なら、わたしが原因かもしれません」<br />　卓巳は「まあ、落ちつけよ」といったふうに、多少興奮気味の舞に座るよう促した。舞は従い、卓巳は舞が座るのを待ってからゆっくりと言った。<br />「それがな、急病というわけではないみたいなんだ」<br />「？」<br />「運ばれたときは、既にかなり衰弱していたらしい」<br />　教頭の話によると、内臓の機能が低下し、立つこともままならず、食事も自力で取れないありさまだという。<br />　卓巳は諭すような口調で続けた。<br />「だから君の拒絶は、たぶん直接的な原因ではないよ」<br />「そうならいいんですけれど」<br />「僕が大学にいた頃に集めた資料では、生霊のぬしが徐々に衰弱していく例はけっこう多いんだ。自分の執着心や怨念が自分の身体から離れた場所にそういう形で現れるのだから、身体のほうに負担がかかって影響が出るのだろうという推論がひとつ。でもよくよく調べてみると、半数以上は執着心や怨念のせいで不眠だったり、食事をまともに取っていなかったり、思いに囚われすぎて生活が乱れてるんだよ。衰弱して当然だろ。後藤先生だって我々をあれだけつけ回してれば、まともな生活をしてたとは思えないよ」<br />「そうですね」<br />「自業自得なわけだし、きみが責任を感じることはない」<br />「はい」<br />　舞は小さく頷いた。<br />　卓巳は溜息をついた。<br />「それよりも、学校が終わったら岩崎先生の見舞いに行ってこようと思ってるんだ」<br />「突き落とされたのがご自分のせいだと思っているからですか？」<br />「それもあるけど、疑った事が申し訳なくってな」<br />「岩崎先生に話すおつもりですか？」<br />「いや、話しはしないよ。少しのあいだでも弁当を作ってきてくれてたんだから、心配して見舞いに行ったって不自然ではないだろ」<br />「きっと喜びますよ」<br />「そうかな」<br />　そこで舞は、はっとして卓巳に訊いた。<br />「後藤先生の入院先ってどちらですか？」<br />「鎌ヶ井病院だそうだ」<br />「先生、まさか後藤先生のお見舞いにも行かれるおつもりですか？」<br />「いや」<br />「行ったら絶対に駄目ですよ」<br />「行かないよ。恐いから」<br />「それなら、いいんですけれど」<br />　放課後、卓巳は学校を出て鎌ヶ井病院に向かった。空はどんよりしていて、今にも雨が降りだしそうである。卓巳は傘を握り締めていた。<br />　鎌ヶ井駅から鎌ヶ井高校へ行くなら西口に出るのだが、鎌ヶ井病院へは東口に出る。そこから１０分ぐらいの所にあるが、鎌ヶ井高校から病院へ行くには駅方面ではなく反対の方面へ歩き、踏切を渡って行ったほうが近い。途中にショッピングセンターもあり、そこの果物屋で卓巳は見舞いを買った。<br />　鎌ヶ井病院に着くと、卓巳は岩崎の病室を訪ねた。岩崎は卓巳の訪問を無条件に喜んだ。怪我の具合を訊ねると来週のうちには退院できそうで、その後は通院治療に切り替わるらしい。卓巳は階段から落ちた時の状況を訊いたが、突き落とされたような感覚はあったけれど誰もいなかったので自分の不注意に間違いないと答えた。<br />　話す事もあまり無いし、そこそこで卓巳は岩崎の病室を出た。エレベーターで１階に下り、病院を出ようと入り口に向かっていたその時、いきなり卓巳は声をかけられた。声の方を見ると、座っていた椅子から立ち上がって近付いてくるのは舞だった。<br />「来たの？」<br />「先生が後藤先生のお見舞いに行かないか心配で」<br />「行かないって言っただろ」<br />「それだけじゃなく、後藤先生の様子を知りたくて」<br />「行ったの？」<br />「いいえ。ここで探りました」<br />「どうだった？」<br />「病院は特殊な場所なのでわかりにくいのですけれど、視線を感じたときの嫌な感じは後藤先生からは全く消えていました。今のところ何かがまた起きることは無いでしょう」<br />「わかった。それより、せっかく来たんだし岩崎先生に会ってきたら？」<br />「結構です。手ぶらですし」<br />「生徒なんだからいいよ」<br />「嫌です。それに、親しくもないのにお見舞いに行ったら不自然ですよね。地学部員以外、一年生には関係のない先生ですから」<br />「そうか？じゃあ帰るか」<br />「はい」<br />　病院を出ると、小雨ではあるがいつの間にか降りだしていた。卓巳は舞の手に傘が無い事を確認すると、自分の傘を広げて「入れよ」と言った。舞は素直に中に入った。<br />　卓巳と舞には身長差がある。卓巳はなるべく短く傘を持って歩いたが、それでも舞が濡れそうな気がして、自分の脇の辺りまで舞をぐっと引き寄せた。舞は黙って従った。<br />　卓巳は岩崎の様子を簡単に話してから、言った。<br />「びっくりしたよ。いきなり泣きだすから。本人曰く、嬉し涙だそうだ」<br />「そういう事は生徒に話すものじゃありません」<br />「そうか？」<br />「そうです」<br />　はっきりと答える舞に、卓巳は素直に反省した。以前なら年齢が逆転したようなやりとりに情けなさを感じていた卓巳だったが、不思議と今はそれを自然に受け入れられた。<br />　卓巳は声に出して溜息をつくと言った。<br />「でも、後藤先生が犯人だったとはな」<br />「犯人とか言わないでください。どうしてそういう事したのか、わかってますか？先生」<br />「まあ、あそこまでやられれば、嫌でも気付くよ」<br />「それまでは何も気付いていなかったんですか？」<br />「ああ」<br />「女子テニス部では噂になってたみたいですよ」<br />「そうなの？知らなかった」<br />　話の途中で舞が急に止まった。<br />「先生、学校に戻るんですよね」<br />「ああ」<br />「わたし、先輩達には帰るって言ってきたので、ここで失礼します。駅、反対方向ですから」<br />　舞は駅の方を指さした。<br />「駅まで送るよ。濡れるだろ」<br />　舞は振り向いて卓巳の顔を見上げた。<br />「校長先生に約束しましたよね。疑いがかからないように気をつけますって」<br />「東口だから大丈夫だよ」<br />「なに言ってるんですか。もしそれで先生が学校を辞める事にでもなったら、わたしが長野から出てきた意味が全く無くなってしまうじゃないですか」<br />「大袈裟だな」<br />　卓巳が笑うと舞はゆっくり俯き、それからもういちど卓巳の顔を下から真っ直ぐに見上げた。前髪の隙間から片目が覗いている。これだけ近い距離で見つめ合った事がなかったからだろうか。卓巳が舞の目を意識して見たのは初めてだった。<br />　舞の目は二重で丸かった。まつげは、色は薄いが長かった。瞳は目の中で大きな割合を占め、虹彩はやや灰色がかった茶色をしている。模様が見えるほど薄い色なため、瞳孔とのコントラストが強い、あまり周囲では見かけないような目をしていた。<br />　舞は瞬きすることなく卓巳の顔をじっと見つめた。卓巳は魔法にかけられたように、その目から視線を外すことができなかった。それどころか、まるで金縛りにあったみたいに身じろぎひとつできず、言葉も出なかった。<br />　しばらく黙って見つめていた舞は、そのままの姿勢でぽつりと言った。<br />「先生って鈍感ですよね」<br />　卓巳の金縛りがやっと解けた。苦笑いしながら卓巳は言った。<br />「僕も、そう思うよ。よく言われるし」<br />　舞は少しのあいだ目を閉じてから開け、卓巳に背中を向けた。それから鞄をごそごそやって折り畳み傘を取り出し、卓巳の傘から出てその折り畳み傘を差した。そして背中を向けたまま、独り言のように言った。<br />「うそつき」<br />　振り返ることもなく、舞は小走りに駅のほうへ去っていった。<br /><br /><br />　五夜目　見つめられて 　　　終わり<br /><br /><br /><br />　<a href="http://novel.blogmura.com/" target="_blank"><img src="http://novel.blogmura.com/img/novel88_31_nf.gif" width="88" height="31" border="0" alt="にほんブログ村 小説ブログへ" /></a><br />　↑ランキングに参加しています。クリックしてください。<br /><br /><br /> ]]>
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<title>五夜目　見つめられて （１５）</title>
<description> 　だいぶ日は延びていたが、雲が多くていつもよりも暗く感じられる。鎌ヶ井駅のホームで、舞は空を見上げた。　帰り間際に卓巳が言ったことを舞は思い出していた。「視線の主は後藤先生かもしれない」　合宿の一日目の夜に沙織たちが話していた噂によると、三月頃まで卓巳は物理準備室から、後藤はテニスコートから、お互いに見つめ合っていたという。かすみの推測では後藤の一方通行らしかったが、噂では今学期に入ってから卓巳は
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<![CDATA[ 　だいぶ日は延びていたが、雲が多くていつもよりも暗く感じられる。鎌ヶ井駅のホームで、舞は空を見上げた。<br />　帰り間際に卓巳が言ったことを舞は思い出していた。<br />「視線の主は後藤先生かもしれない」<br />　合宿の一日目の夜に沙織たちが話していた噂によると、三月頃まで卓巳は物理準備室から、後藤はテニスコートから、お互いに見つめ合っていたという。かすみの推測では後藤の一方通行らしかったが、噂では今学期に入ってから卓巳は外を見なくなったという。理由は舞にはわかっていた。心霊研究会に入会する前から毎日のように舞が来て、卓巳とおしゃべりをしていたからだ。<br />　近くの踏み切りが鳴りだし、線路の向こうのほうから電車が近付いてくるのが見える。その時、舞は背後に視線を感じた。すぐに振り向いたが、誰もいない。周りを見回してみても、怪しい人間も、怪しい霊も見当たらない。舞はホームの端から離れ、真中辺りで電車を待った。<br />　電車に乗った舞は、周りが気になってきょろきょろしていた。誰かに見られている気がしてならない。<br />　八実駅に着き、改札を出て南口へ向かう。そして駅の階段を下りようとした、その瞬間。<br />「！」<br />　舞が殺気を感じて振り向くと、突き落とそうと手を突き出してくる後藤が目の前にいた。<br />「あっ」<br />　舞は思わずしゃがみ込んだ。すると後藤は舞の上を飛び越えて、マネキンのように無抵抗に階段を転げ落ちていった。そして中間の踊り場まで転げ落ちたと思ったら、幻だったかのように一瞬にして掻き消えた。<br />　舞はしゃがんだままで踊り場を見つめていたが、再び殺気を感じて頭上を振り仰いだ。そこには後藤が立っていて、憎々しげな目で舞を見下ろしていた。舞は下を向いて目をつぶり、卓巳を想った。<br />「たすけて・・・先生・・・」<br />　ポケットから数珠を出し、舞は出来る限りの拒絶をした。<br />　どの位の時間が経っただろうか。しばらくして、いきなり舞の肩に手が乗せられた。<br />「ひっ」<br />「大丈夫？」<br />　聞き覚えの無い優しい声に舞がおそるおそる振り仰ぐと、見知らぬ中年女性が心配そうに覗き込んでいた。<br />「気分でも悪いの？」<br />　言いながらさらに覗き込んだ中年女性は、舞の持つ数珠に気付いて少し怪訝な顔をした。<br />「あ、大丈夫です」<br />　そう言って急いで立ち上がった舞は少しふらつき、中年女性はとっさにそれを支えた。<br />「ほんとに大丈夫？」<br />「はい、ありがとうございます」<br />「気をつけて帰りなさいよ」<br />　そう言うと中年女性は階段を下りていった。<br />　舞は辺りの様子を窺った。少し前までのあの恐ろしい出来事が嘘のように、視線も殺気もきれいに無くなっていた。<br /><br /><br /><br />　<a href="http://novel.blogmura.com/" target="_blank"><img src="http://novel.blogmura.com/img/novel88_31_nf.gif" width="88" height="31" border="0" alt="にほんブログ村 小説ブログへ" /></a><br />　↑ランキングに参加しています。クリックしてください。<br /><br /><br /> ]]>
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<dc:date>2009-07-29T23:45:50+09:00</dc:date>
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<title>五夜目　見つめられて （１４）</title>
<description> 　放課後、卓巳が物理準備室にいるところへ、いつものように舞が入ってきた。ところが舞は座ろうとせず、立ったままで言った。「先生、来てください」「どうした？」「とにかく、すぐにお願いします」　その真剣な舞の口調に、卓巳はただならないものを感じて立ち上がった。「わかった。行こう」　舞が連れてきたのは普通棟の階段の踊り場だった。岩崎が落ちた場所である。卓巳は辺りを見回してから舞に訊ねた。「何かあったの？」
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<![CDATA[ 　放課後、卓巳が物理準備室にいるところへ、いつものように舞が入ってきた。ところが舞は座ろうとせず、立ったままで言った。<br />「先生、来てください」<br />「どうした？」<br />「とにかく、すぐにお願いします」<br />　その真剣な舞の口調に、卓巳はただならないものを感じて立ち上がった。<br />「わかった。行こう」<br />　舞が連れてきたのは普通棟の階段の踊り場だった。岩崎が落ちた場所である。卓巳は辺りを見回してから舞に訊ねた。<br />「何かあったの？」<br />　舞はたまに通り過ぎる生徒達を気にしながら、小声で言った。<br />「岩崎先生は、どうやら誰かに突き落とされたようです」<br />「なんだって？」<br />　声の大きい卓巳に、舞はしぃーっと指を立ててから続けた。<br />「誰かといっても、もちろん霊のことですよ」<br />「そっちか」<br />　舞はまるで臭いでも嗅ぐように辺りを見回してから、静かに言った。<br />「しかも、先日からわたしたちに付きまとっていた視線と同じ臭いを感じるんです」<br />「ほんとか？そりゃ」<br />「はい」<br />　卓巳は少し考えてから、舞に訊ねた。<br />「臭いがあるの？」<br />「いえ、実際に鼻に感じるわけではありません。いちばん近い表現が臭いなので、そう言いました」<br />「そうか・・・」<br />　卓巳は踊り場の壁に寄りかかり、腕を組んで考え込んだ。<br />　たまに通りかかる生徒達は卓巳と舞をじろじろと横目で見ていく。卓巳は全く気にしていなかったが、舞は居心地が悪くて下を向いた。<br />　しばらく考えてから、卓巳は頭の中を整理でもするように、ゆっくりと話し始めた。<br />「つまりだ。遅くとも五月のあたま頃から我々を監視し、盗撮していた何者かは、自分で追いきれない場合は意識的か無意識かは知らないが生霊をよこした」<br />「生霊をよこしただけで、写真って撮れるものなんですか？」<br />「さあ。生霊が見たものが思いとなってカメラに写り込んだのかもな。念写に近いものかもしれない。実際に見ただろ、写真」<br />「はい」<br />「そして、その何者かは撮り貯めた写真を校長に送った。その動機は僕を辞めさせたいか、君を辞めさせたいか、ただ困らせたいだけなのか、それとも僕と君を近付けさせたくないのか」<br />「・・・はい」<br />　卓巳は壁から離れ、再び辺りを見回した。<br />「その何者かが岩崎先生をここから突き落としたわけか」<br />　卓巳はあからさまに辛そうな顔をして大きな溜息をつくと、両手で顔を覆ってその場にしゃがみ込んだ。通りかかった生徒が一瞬驚いて、避けるように通っていった。<br />　舞は今度は他の生徒達の視線も気にせず、卓巳の横に膝をついた。<br />「どうしたんですか？」<br />「写真を撮ったの、岩崎先生だと思ってた」<br />「どうしてですか？」<br />「それは・・・」<br />　卓巳は、そう思った理由を説明した。<br />「そうですか」<br />「岩崎先生の人となりをちゃんと見てれば、そんな事する人じゃないってわかったはずなのに。はあ、自己嫌悪」<br />「しょうがないじゃないですか」<br />「岩崎先生が突き落とされたのって僕のせいじゃないかな」<br />「どうしてですか？」<br />「弁当を作ってきてくれたりして僕に近付く岩崎先生が邪魔だったとか」<br />「・・・・・・」<br />　横を生徒達か笑いながら通り過ぎていった。卓巳と舞は立ち上がった。<br />「大丈夫かな。死んだりしないよな」<br />「そんなにひどかったんですか？」<br />「いや、運ばれたときには意識があったらしいけど。そのあと、どうなったかな」<br />「誰かに訊けないんですか？」<br />「たぶん教頭なら知ってるはず」<br />「行きましょう」<br />　卓巳と舞は職員室で教頭を捕まえて、岩崎の事を訊いてみた。それほどひどくはないらしい。数日で病院は出られるそうだ。<br />「入院先はどちらですか？」<br />　卓巳が訊くと、教頭は気の毒そうに卓巳の顔を見た。教頭も卓巳と岩崎が付き合っていると思っているらしい。<br />「鎌ヶ井病院だ。でも見舞いなら今日はやめとけ。気持はわかるが、まだ治療やら精密検査やら、やってるらしいから」<br />「はい」<br />　卓巳は少しほっとした。<br />　物理準備室へ向かいながら、卓巳は呟いた。<br />「いったい誰だ？」<br />「心当たりはないんですか？先生に岩崎先生が近付くのを快く思わない人」<br />「一人いるけど、違うよ。いくら人を見る目が僕に無かったとしても、身近な人間を疑いたくない」<br />「それは、わたしですか？」<br />　卓巳は驚いて舞を見た。<br />「なに言ってんの？篠原美月だよ」<br />「わかってましたけれど、わたしは心当たりに入れないんですか？」<br />「君なわけないだろ」<br />「どうしてそんなこと言えるんですか？」<br />「どうしてもこうしても無いよ。そうなんだから」<br />　舞は卓巳を振り仰ぎ、呆れて訊ねた。<br />「物理の先生にしては、論理性に欠けていませんか？」<br />「じゃあ、いいよ。もし君だったら、写真に君は写ってないだろ」<br />「わたしは岩崎先生を突き落としただけかもしれませんよ。写真を撮った人と同じ臭いがするって言ったのは、わたしなんですから。嘘をついている可能性だってありますよね」<br />「もう、いいよ。君は岩崎先生に、そんな感情は抱かない」<br />「・・・・・・」<br />　舞が立ち止まった。卓巳も立ち止って振り向いた。<br />「どうした？」<br />「わたし、岩崎先生のこと嫌いじゃないですよ。むしろ好きかもしれません。だから岩崎先生が写真を撮ったなんて、初めから疑っていませんでした」<br />「・・・・・・」<br />「でも、先生はわかっていません」<br />　舞は小走りに物理準備室へ向かった。<br />「？」<br />　卓巳はそのまま舞の後姿を見送った。<br />　卓巳が物理準備室に戻ると、沙織たちがカーテンを閉めて合宿のＶＴＲを見ていた。<br />「何かわかった？」<br />　卓巳が訊くと、沙織はやや興奮気味に答えた。<br />「それが、二日目のほうには結構それらしいのが映ってるのよ」<br />「それらしい？」<br />「人の形に見える影とか、窓ガラスに何か映ってたりとか、白いもやもやが動いてて一瞬人の顔に見えたりとか、そういうの」<br />「自分達の影とかと間違えないようにな」<br />「わかってるわよ。ぜんぶ記録を取ってるから、疑問があればあとでゆっくり見直すわ」<br />　どうやら、まともな活動になりつつあるようだ。<br />　その時、珍しく来ていた葵が叫んだ。<br />「ストップ、ストップ！なんか、いた！戻して、戻して」<br />　ＶＴＲが戻され、もう一度スローで再生された。卓巳も後ろから覗き込んだ。<br />　カメラが大きく振られ、窓ガラスを横切る一瞬、そこに明らかに何かが映っていた。<br />「もう一回、もう一回」<br />　再度ＶＴＲが戻されて、再生された。<br />「ストーップ！」<br />　丁度いいところでＶＴＲは止まった。窓ガラスには薄く人が映っていた。そこに映っているならば、窓ガラスの前に人がいないと不自然な位置だ。<br />　沙織が身を乗り出した。<br />「女みたいね」<br />　すると、いきなり葵が笑って言った。<br />「あはっ、これって後藤先生に似てない？」<br />「後藤先生ってテニス部の顧問の？」<br />「恨めしげな表情が鬼コーチしてるときの顔にそっくりだよ」<br />「なにバカ言ってるのよ。後藤先生、まだ生きてるって」<br />「それがここんとこ死人みたいなんだよね。やつれちゃってさ」<br />「そういえば、あたしも見た。せっかくの美人が台無しなのよね。言われてみれば似てるかも」<br />「無茶なダイエットでもしてるんじゃない？」<br />　卓巳は血の気が引いていた。その場をそっと離れ、カーテンの裏へ入って外を見た。テニスコートは物理準備室の窓からよく見える場所にある。<br />　卓巳の視線の先にはテニスコートに背を向けてフェンスにもたれている後藤がいて、恨めしげにこちらを睨んでいた。もともと細面だったが、前に顔を見たときよりも更に頬がこけ、目の周りが窪んでいるために目玉がぎょろりとして見える。まるで怨霊のようだった。<br />　卓巳と後藤の目が合った。後藤は卓巳に気が付くと、急にトロンととろけた表情に変わったが、やつれた顔ではただ不気味なだけだった。卓巳は背筋に寒気が走るのを感じた。<br /><br /><br /><br />　<a href="http://novel.blogmura.com/" target="_blank"><img src="http://novel.blogmura.com/img/novel88_31_nf.gif" width="88" height="31" border="0" alt="にほんブログ村 小説ブログへ" /></a><br />　↑ランキングに参加しています。クリックしてください。<br /><br /><br /> ]]>
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<dc:date>2009-07-27T23:46:48+09:00</dc:date>
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<title>五夜目　見つめられて （１３）</title>
<description> 　翌日の朝の職員会議で卓巳は強い視線に気が付いた。その元を辿ってみると、話している教頭には目もくれずにじっと卓巳を見ている岩崎がいた。岩崎は卓巳と目が合い、にっこりと微笑んだ。　卓巳は昨日の放課後、校長から写真を借りて一枚一枚を分析してみた。写真のアングルから考えて、どこでカメラを構えていたか。写真に妙なものは写っていないか。実際にレンズを通した光で撮影されたものなのかどうかなどをである。　まず物
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<![CDATA[ 　翌日の朝の職員会議で卓巳は強い視線に気が付いた。その元を辿ってみると、話している教頭には目もくれずにじっと卓巳を見ている岩崎がいた。岩崎は卓巳と目が合い、にっこりと微笑んだ。<br />　卓巳は昨日の放課後、校長から写真を借りて一枚一枚を分析してみた。写真のアングルから考えて、どこでカメラを構えていたか。写真に妙なものは写っていないか。実際にレンズを通した光で撮影されたものなのかどうかなどをである。<br />　まず物理準備室で撮られたものは、その鮮明さから考えても実際に隠し撮りされたものに違いなかった。アングルは入り口ドアからと、隣の物理室との続きのドアから。それに、驚いたことに金属の棚の位置から撮られたものもある。棚には人間が隠れられるスペースは無いので、卓巳のいないうちに忍び込んで設置し、遠隔操作か自動で撮影したのだろう。心霊研究会の面々からは物理準備室の周囲でうろつく怪しい人物の情報などは無いので、よっぽど慎重に、そして機敏に動く人物のようだ。<br />　次にレストランでのものだが、初めて行った時のものは、やはり実際に撮影されたものらしい。ぜんぶ同じアングルだった。卓巳と舞の席の斜め方向にある、少し離れた席から撮影されたようだ。卓巳はそんな所に人がいた事すら記憶になかった。顔見知りの人物だとすると、おそらく変装していたのだろう。<br />　二回目の合宿明けの日に行った時のものも、一回目と同じように少し離れた席から撮影されたようだった。<br />　ところが三回目の、八実駅で舞と偶然に会って行ったレストランでの写真は不自然だった。カメラが近すぎるばかりか、壁があるはずの辺りから撮影されたようなアングルがある。画像は、卓巳の顔がわかる程度の鮮明さはあるが、露出過多のように白くとんだ感じだった。<br />　近藤の引越しを手伝った帰り道の写真は、卓巳と舞を尾行して撮ったらしい。常に後方からのアングルである。よく見ると舞が学校から近藤のアパートに引き返してくる時の写真もあり、どうやら尾行はそこから始まっていたようだ。<br />　問題なのは中嶋の家からの帰り道だ。あらゆるアングルから撮られている。歩いている卓巳と舞を一人でそのように撮るのは無理がある。中には線路の上あたりから撮ったようなアングルもあり、普通に撮ればおそらく写り込んでしまうはずの金網も写っていない。それに中嶋の家からの帰り道の写真は全て不自然に歪んだ写真になっていた。<br />　いちばん不自然だったのは合宿の写真だ。全体的に露光不足のように暗いのだが、ピンぼけやブレているばかりでなく、光の当たっている部分はその方向や影の向きがおかしい。まるで、絵心の無い人が光源を無視して描いた絵のようである。もっとおかしいのは、２階以上の写真に窓の外からのアングルがある事だ。つまり空中に浮いて撮影したことになる。<br />　ところが、コンビニへ行った写真には不自然なものが一枚もない。これは実際に隠し撮りされたようだ。つまり撮影した人物は、少なくともその時間の前後は学校の外に潜んでいたことになる。<br />　舞の誕生日の写真は疑いようもなく隠し撮りされたものだ。画像が鮮明なばかりか、おそらく撮影した人物もタクシーで移動したのだろう。車の窓枠や料金シールまで写り込んでいた。<br />　全部の写真を卓巳は一通り分析してみたが、三回目のレストラン、中嶋の家からの帰り道、合宿二日目の校内といった不自然な写真が、多くの盗み撮り写真の中に交ざっているといった感じだった。<br />　不思議なのは、なぜそこまで盗み撮りができるかだ。撮影した人物が学校内の人間なら自分の生活もあるはずで、四六時中つきまとうのは難しい。もういちど思い返してみる。校内は別にしても、校外で実際に盗み撮りされた時と、そうでない時の違いはなんだろう。卓巳は考えた。そして一つの仮説が生まれた。<br />　一度目と二度目のレストランは舞と約束して行った。一度目の約束は物理準備室で決めた。二度目は屋上で決めたが、その直後に物理準備室でコーヒーを飲みながら具体的な話を決めた。ところが三度目は偶然に会って、その場で決めて行っている。<br />　近藤のアパート行きは試験最終日の放課後に物理準備室で決めた。ところが中嶋の家には、応接室で急に行く話が決まった。<br />　舞の誕生日に食事に行く事は誰にも話していない。急用が出来たと言って食事会をキャンセルしただけだ。けれども舞の誕生日の事は蔵之助が物理準備室で話しているし、卓巳は用事があるからと早めに物理準備室を出て、それからタクシーを呼んでいる。<br />　それらの事から導き出される隠し撮りをされた時の共通点は、その話を物理準備室でしている事と、実際の盗み撮りまでに多少の時間的な余裕があった事だ。とすれば、情報は物理準備室で得ていることになる。<br />　職員会議のあと、卓巳は物理準備室に戻って机の下に潜り込んだ。盗聴器を探すためだ。けれども、それらしい物は見当たらない。ふと壁を見ると、見覚えのないタップがコンセントに刺さっている。<br />（今まで気付かなかった）<br />　卓巳はそれを抜き取り、ばらしてみた。中からは電子部品が出てきた。盗聴器に違いなかった。<br />　分析の過程で、卓巳にはもう一つの仮説が立っていた。それは盗み撮りをしていた人物についてだ。合宿の二日目の写真は有るのに一日目の写真が無いのは何故か。二日目に学校の外に潜んでいたとすると、そのための時間が自由になったということになる。逆に一日目の写真が無いということは、時間が自由にならなかったか、近くにいて付きまとう必要がなかったかだ。その条件に当てはまる人物で、カメラを持ち、物理準備室の周囲や中を動き回りやすく、舞の誕生日にタクシーに乗って自由に動き回れる時間的余裕があり、写真を校長に送りつけるだけの動機のある者といったら、卓巳は一人しか思いつかなかった。岩崎だ。<br />　昼休みになり、卓巳はびくびくしていた。岩崎が重箱を抱えて入ってくるような気がしたからだ。けっきょく最後まで岩崎は現れなかったが、久しぶりに頼んだ店屋物が全く喉を通らなかった。<br />　午後の授業が始まり、卓巳は物理室の教壇に立った。しばらく授業を続けていると、外から救急車のサイレン音が聞こえてきた。音はだんだん大きくなり、学校の敷地に入ってきたのは間違いなかった。生徒達はざわついていたが、停まったのは普通棟の向こうらしく、特別棟からは全く見えなかった。<br />　あとでわかったのだが、運ばれていったのは岩崎だった。普通棟の階段から落ちたのだという。<br /><br /><br /><br />　<a href="http://novel.blogmura.com/" target="_blank"><img src="http://novel.blogmura.com/img/novel88_31_nf.gif" width="88" height="31" border="0" alt="にほんブログ村 小説ブログへ" /></a><br />　↑ランキングに参加しています。クリックしてください。<br /><br /><br /> ]]>
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<dc:date>2009-07-25T23:48:35+09:00</dc:date>
<dc:creator>一期</dc:creator>
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